自動思考の歪みには、10種類の「推論の誤り」が関係しています。
今回はそのうちの1つ、「全か無か思考」について書いてみたいと思います。
全か無か思考とは?
物事を極端にとらえすぎるあまり、白か黒かのどちらかにはっきり分けて考えてしまう傾向のことです。
この思考には、中間色というものが存在しません。
二者択一的な思考であるため、「100%上手くいかない=失敗」と考えてしまいます。
その結果、少しうまくいかなかっただけでも自分を責めてしまい、つらい気持ちになってしまうのです。
全か無か思考の例
例えば、それまで堅調だった営業成績が、ある月だけ目標を達成できなかったとします。
この時に、「目標を達成できなかった。もうおしまいだ。この職場に自分の居場所はないだろう...」と考えて落ち込んでしまうのが、全か無か思考の怖いところです。
全か無か思考への反証
思考の歪みを修正するためには、その考えに対する反証をぶつけてみるのが効果的です。
全か無か思考に至る基盤には、必ずと言っていいほど「完璧主義」が存在しています。
完璧主義に陥ってしまうと、取るに足らない小さなミスをした時でさえ、それは完全なる失敗だととらえてしまいます。
それにより、自分がまるで失敗だらけで価値のない人間であるように錯覚してしまうのです。
先ほどの営業成績の例を挙げると、これまで堅調な成績を収めていたという事実を無視し、たった1回の不達成だけに着目して自己評価をしてしまっています。
その評価は本当に正しいでしょうか?
「今回は達成できなかったけれど、いつもは上手くやれていた。また次に頑張ろう!」という考えの方が自然なのではないでしょうか。
全か無か思考から抜け出すために
そもそも、何事も完璧にこなすというのは不可能で、非現実的なことなのです。
人生において、「完全に○○だ」というケースは、実はほとんどありません。
例えば、きれいに掃除した床であっても、小さなホコリや砂粒の1つまで取り除くことは難しいです。
人間も同様で、「完全に優れている」「何もかもできない」などどいうことはありません。
自ら掲げて課している「完璧主義」というのは、あくまで理想に過ぎず、現実世界と折り合いをつけることは難しいのです。
完璧主義が課している要求は誇大された水準であり、永遠にその水準に達することはできないでしょう。
その結果、永久に自信のない自分と付き合っていかなければならなくなってしまいます。
中間色の部分に着目することで、完璧主義はかなり軽減されます。
具体的には、こうしたいと思った60%ができればOKとすると良いでしょう。
「60%なんて穴ぼこだらけだ」と思うかもしれませんが、大丈夫です。
完璧主義者の60%は、他の人から見たらよくできている成果物であることが多いのです。
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